四国歩き遍路 24日目 経験したことのない低気圧に襲われる
更新2020年8月31日
ハイよ~!シルバー!のおじいです。
24日目の行程
民宿旅路⇒38番金剛福寺⇒民宿いさりび
民宿旅路
遍路中は疲れているので、ぐっすり眠れる
夜中に起きることはない
だが、この日は違った
宿の裏は林になっている
そして、すぐに太平洋が迫る
そんな地形が影響するのか
猛烈な強風が部屋を揺らした
雨が激しく窓を打ち続ける
外では不気味な音が鳴り渡る
揺れと音で何度も目覚めた
部屋は2階だった
建物自体が吹き飛んでしまわないかと心配になった
朝、宿の女将さんが教えてくれた
発達した低気圧のため今日1日は、もっと荒れるらしい
もう一人の宿泊者が遍路のCさんだ
Cさんは可能な限りへんろ道を歩くスタイルのひと
金剛福寺からは打ち戻らず、月山神社へ行く1番遠いコースを歩くらしい
コースについて詳しくはこちら
朝食が終わるとCさんはすぐに出発した
こちらは打ち戻りコースだから、もう1度ここへ帰ってくる
荷物は置かせてもらった
第38番金剛福寺
外に出ると、予想どおり激しい雨
ゴーゴーと鳴る音に比べると、実際の風はまだ大人しく感じる
途中、Cさんとバッタリ
海沿いのへんろ道は荒波と強風で危険なため、車道まで戻ってきたらしい
Cさんはそのまま車道を足早に歩いて行き、視界から消えてしまった
窪津漁港を過ぎたあたりで、風が猛烈に強くなった
正面から来る強風で、足を前に踏みだせない
両脚で踏ん張り、前傾姿勢をとっていないと、吹き飛ばされそうになる
しばらくそのままの状態が続いた
宿に帰ろうかと一瞬考える
こんな日に歩く遍路が何人もいるはずがない
宿で待機するのが普通だろう
それでも、じっと耐えていると風向きが変わる
なんとか前に進めるようになった
とにかく行くしかないと、弱気を振り払う
向こうからが歩いてくる遍路がいた
この先の情報を聞いた
大丈夫、なんとか行ける
お寺の前の道路は、風雨が凄いのでそれだけは注意して
これから進む道を経験した人の話を聞くと安心感が生まれる
なにより、この状況で歩いているのがひとりやふたりでないと感じ、心強くなる
また一人、遍路とすれ違う
同じことを聞く
同じような答えが返ってくる
ますます安心する
津呂にへんろ小屋があった
トイレと水道を、往復利用させてもらった
雨の日でも、今日はやたらと喉が渇く
金剛福寺の前の道路は教えてもらったとおり、強風が吹き荒れていた
ところが、お寺に入ると静かになる
雨が降ってはいるが、穏やかな境内
寺から一歩出ると、強風が襲ってくる
どうもこの道路付近が風の通り道になっているらしい
すぐそばに展望台がある
駐車場を横切って行こうとした
展望台の方向から車に戻る観光客風のカップルから声がかかる
お遍路さん、展望台に行っても雨風が凄いだけ、やめたほうがいい
それでも近いので行ってみた
やはり助言には素直に従うべきだった
立っているのがやっと
雨が目に当たり、景色を見るどころではない
すぐに展望台から下りた
でもやっとここまで来たんだからと
展望台のようなことはない
それでも油断は禁物
動画を撮る時ちゃんとつかんでいないと、携帯が飛ばされそうになる
後で撮った動画を見たら、しっかり指が入っていた
帰りは風が背中を押してくれる
楽に歩けた
女性の遍路が前傾姿勢で左右に揺れながら、こちらに歩いてくる
頑張れ、負けるな
そう思うと、聞かれもしないのに
この先の状況を伝えていた
旅路まで戻って来た
預かってもらっていた荷物を持って今日の宿へ
民宿いさりび
風はやや収まったが、雨は一層激しくなった
道はほとんど川だ
こうなっては防水性の靴といえども役に立たない
びしょ濡れの状態で宿に着いた
高知では毎春こんなすごい低気圧がやってくるんですか
宿のご主人に聞くと
いや、こんなにすごいのは初めて、いつものとはレベルがちがうという
キャンセルの電話が続いたのだろう
今日は飛び入りの遍路がひとり来ただけで、ほかに宿泊客はいなかった
今夜はゆっくり眠れるだろうか
宿の情報は